凛 と し て 日 本



横浜の票流、政党は漂流 〜 岩國哲人衆議院議員 [2002/3/10]
 参院選挙もなく、衆院総選挙も恐らく行われず、統一地方選挙も今年ではなく来年の春、という次第で、今年は選挙無風の年と思われていた。せいぜいその中で行われる選挙として年初から注目されていたのは、横浜市長選、京都府知事選、参院新潟補選、衆院和歌山補選のいわゆる四大選挙だった。

 そのトップを切って、人口347万人と日本最大の政令都市・横浜市長選挙は、国政の混乱や国会議員の不祥事で、政治不信が高まる中、有権者がどのような反応を示すか注目されていた。最大の争点は多選・高齢・官僚・相乗りという、選挙の三悪、四悪に数えられる要素が市民からどのように評価されるかという点。加えて、戦後史の中でも稀な高支持率を誇った小泉首相の地元神奈川県の県庁都市で、支持率急落直後にどのような結果がでるのか、その辺も注目点のひとつでもあった。

 結果はどうだったか。新人の中田宏前衆院議員のみごとな逆転勝利だった。

 現職の高秀氏は四選を目指した大ベテラン。サッカーのワールドカップ決勝戦誘致など三期の実績をもとに盤石のはずだった。多選・高齢に対する根強い批判はあったが、自民、公明、保守、社民、連合の推薦に加え、民主党の神奈川県連が民主党本部の方針に背いてまで押しかけ推薦に加わるなど、事前の情勢調査では有利と見られていた。(中略)

 大逆転は最後の一週間に起きた。中田選対本部は苦戦を続けていた。市内全域に知名度が高いわけではない。矢張り現職にはこの点でも劣る。行政、経済のこれという経歴にも欠け、37歳という年齢を大都市の市長としては若すぎると見る人も少なくない。有力な政党や組織の支援もなく、資金的バックもない候補だったが、市政刷新、多選阻止、各党相乗り反対を訴え、「平成の桶狭間」を信じて戦い、市民の中からも同調者が次々と参加してきた。

 そして、横浜市民の底流が変わりはじめた。選挙期間中の各政党や自治労の相次ぐスキャンダルにも触発され、自民党を中心とする強固な相乗り政党と自治労は逆に「悪の枢軸」のイメージに転落していった。税金を無駄遣いしたり、私物化する政治家集団に包囲されている横浜市政を市民の手で解放しようというアピールがようやく浸透しだした。私自身、何度も横浜市内に応援に入り、街頭で足を止める人、ビラを受け取る人が日ごとに多くなってゆくのがよくわかった。(中略)

 多くの人が選対事務所で立ったまま開票速報を見つめていた。同数で並んだまま10時が過ぎ、そして遂に新人がリード。出口調査の新人有利を裏付ける展開だ。しかし、その20分後には逆に3千票差で首位をゆずっている。なぜだ。中田選対事務所の人たちに不安の表情が浮かぶ。

 「青葉区の票は入っているのか」と思わず私は聞いた。青葉区の菅野市会議員が答える。「まだです。これからです。」と。私はその瞬間に勝利を確信した。青葉区は中田候補の支持者が多い。その投票箱が開いたら、市内各区でここまで僅差で追ってきた3千票差は充分に取り返せるはずだ。

 その読み通りに、NHKはそれから数分後に、3千票差で2位の中田候補に当確マークを打ち出した。青葉区の4万票の中田票が3千票差を飲み込んでいった。

 湧き上がる大歓声の中で小幡、菅野、岡本、佐藤、飯沢の5人の民主党市議の目には涙があった。過ぎ去った3ヶ月の苦しい日々の思い出がよみがえったのに違いない。神奈川県の民主党と横浜市議会の民主党市議団から迫害され、離団通告を受け、支援組合や今まで応援してくれていた各種団体等からも不支持通告を受け、それでもなお多選阻止という民主党の理念を信じ、市民を信じ、自分を信じて戦い続けて来た100日間。誰がこの逆転勝利を予想しえたことだろう。5人の市会議員は、敗北の中に自分たちの来年の選挙で直面するであろう数々の不利な情勢とその中で失う政治生命を覚悟していたに違いない。私自身の選挙を除いて、はじめておぼえた大きな感動だった。政治を目指すものは、このように大道を歩めと。

 この横浜市長選挙から学ぶべきことは多い。(以下略)

岩國哲人衆議院議員
1936年大阪市生まれ、東大法学部卒業後、日興証券に入社。ニューヨーク、ロンドン、パリに勤務。モルガン・スタンレー投資銀行を経て、84年世界最大の投資銀行メリルリンチ社へ。87年同社上席副社長。89年帰国し、島根県出雲市長に就任。数々の政策を自ら打ち出し評価を得る。96年衆議院選挙に立候補して当選。現在二期目。 

[ トップへ ] [ 活動報告 ] [ プロフィール ] [ お知らせ ] [ アクセス ] [ 後援会 ]



岡本英子事務所
〒247-0006 横浜市栄区笠間2−31−2
tel:045−894−5870
fax:045−891−5598
e-mail mebae@guitar.ocn.ne.jp